温度管理が及ぶ部門は多く 幅広い知識が必要

温度管理が必要な場面はたくさんあり、すぐに思いつくものは食品関係です。

中でも鮮魚・精肉は温度管理を徹底しないと保有している菌の増殖が速やかで、輸送から加工現場・工程と、冷凍・加熱に至るまで全ての工程で温度の管理がなされる必要があります。食品以外でもその管理に気を遣わないとならないものがあり、塗料や接着剤などの流体材料は温度の変化で性能・状態がすぐ変わります。従って製造~使用時まで温度の管理はシビアなものが要求され、輸送時にもその記録が求められることもあります。

精密部品も同様で、金属は温度の変化によってすぐに体積が変わりますから、その状態で組み合わせてユニットを組むと所定のサイズに収まらなかったり、外形に不具合が発生することなど頻繁に起こり得ます。また部品加工時に発生する温度変化にも注意が必要です。切削などで高温が加わる状態になると金属内部に歪が生じ、それが後々のメッキなどの工程でサイズ不良などの不具合を誘発したりするのです。

このように産業のあらゆる部門で温度管理は必要不可欠なものですが、その基本となるものは温度計です。決められた時間や頻度で温度計を確認しても、計器そのものに不具合があっては正確な温度管理は実行できません。それを防止するのが校正作業で、基準となる温度または電気を印加し、所定の表示を示すかを定期的に検査する方法です。温度計は一度入手すると狂わず、常に正確な数値を示すものではありません。実は日常生活で使用されるガラスの温度計もそうですし、産業で使用されることの多い、温度を電気信号に変換して表示する熱電対式温度計もそうです。温度管理の世界は、製造対象物、計測機器についても行う必要のあるもので、幅広い視野を持って行なわれるべきものです。

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