非接触の温度計センサーに必要な放射率の設定とは

温度計センサーの中でも、非接触式と呼ばれるタイプのセンサーは、計測対象に触れることができない場合や、計測対象が動いている場合などに使用されています。

対象物に接触せずに温度計測ができるというメリットがありますが、非接触式センサーを使用する場合は放射率の設定が必要です。非接触センサーは、計測対象から放射される赤外線エネルギーを計測することで、物体表面の温度を測定しています。

熱を持った物体から放射される赤外線エネルギーは、物体の熱量と比例関係にあるため、これを利用して温度計測するという仕組みです。しかし、同じ熱量を持っていたとしても、材質や表面状態によって放射される赤外線エネルギーは異なるため、計測対象となる物体の特性を考慮せずに計測してしまうと、正確な温度を測ることができません。そこで、非接触式センサーで温度計測する場合は、予め計測対象となる物体に応じた放射率を設定する必要があるのです。放射率とは、理想的な黒体から放射されるであろう赤外線エネルギーを1としたときの、計測対象から放射される赤外線エネルギーの比率を表したもので、0~1の数値で表されます。

放射率は、計測対象となる物体の取扱説明書などに物理定数として明記されていることがあり、明記されている場合は、その値をそのまま利用可能です。一方で放射率が分からない場合は、接触型の温度計で計測した実際の温度と比較しながら、同じ温度となるように放射率を調節する必要があります。また、放射率を求めるための黒体スプレーや黒体テープといった商品も存在するため、これらを使用することでも放射率を求めることが可能です。

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